Future Vision

見えない声を、
見過ごさないために。

社会福祉版「おまもり向日葵」が目指す、支える人と支えられる人の新しいつながり。

構想公開:2026年8月25日 / 著者:温泉エルフ

子ども、高齢者、支援者を向日葵の光がつなぐ、おまもり向日葵の未来イメージ

「大丈夫」と答えた、その声の奥にあるものを、私たちはどこまで受け取れているでしょうか。

忙しく働く親が、子どもの小さな変化をすべて見つけることは難しい。離れて暮らす高齢の家族の一日を、毎日そばで見守ることもできない。介護や福祉の現場では、一人ひとりに丁寧に向き合いたいという願いがあっても、記録と引き継ぎに追われ、時間が足りません。

そこにあるのは、愛情や努力の不足ではありません。人の優しさだけでは抱えきれないほど、支える人に多くの役割が集中しているという現実です。

01. 「おでかけ」から「おまもり」へ

『おまもり向日葵』は、『おでかけ向日葵』で育ててきた温かな対話、音声、写真共有、記憶の設計を、社会福祉の領域へつなぐ新しい挑戦です。対象は、子育て世帯、高齢者介護世帯、障がいのある方とその家族、そして福祉の現場で働く方々です。

アプリは一つ。利用開始時に親機と子機を安全に結び、AndroidとiPhoneが混在する家庭でも使えることを基本にします。子機の向日葵ちゃんは、話し相手や学習支援、生活の声かけを担当し、必要な情報だけを整理して親機へ届けます。

監視するためではなく、気づくために。管理するためではなく、支えるために。これが「おまもり」という名前に込めた原則です。

02. 何度でも、同じ優しさで

認知症や一部の障がいでは、たった今伝えたことが記憶に残らない場合があります。「15時になったらお風呂に入りましょう」と一度伝えるだけでは、支援にならないことがあります。けれど支援者が、同じ説明を何度も、同じ穏やかさで繰り返すことには大きな負担が伴います。

子機側の向日葵ちゃんは、本人に合わせた「プロファイルカード」と一日の予定をもとに、少し前から段階的な声かけを行います。「もうすぐお風呂だよ」「タオルを用意してみようか」「準備できたね」。命令ではなく、見通しと小さな成功を積み重ね、本人が自分で次の行動へ向かえるように支えます。

好きな話題、安心できる言葉、避けるべき刺激、理解しやすい短さ。支援カードは、診断名ではなく「この人には、どう伝えると安心できるか」を中心に設計します。AIの根気を、人の尊厳を守るために使います。

03. 声を、介護記録に変える

介護現場のパイロット版では、支援者が作業をしながら声で記録できる機能を計画しています。「Aさん、排泄、おむつ、ウェット」「Bさん、入浴」「Cさん、食事、完食」「Eさん、検温、36.5度」。スマートフォンの時刻を添えて構造化し、複数人の記録を任意のタイミングで確認・修正・出力できるようにします。

AIが勝手に介護記録を確定するのではありません。聞き間違いや対象者の取り違えを防ぐため、必ず復唱と確認を挟み、最終判断は支援者が行います。介護モードはパスワードで保護し、保持期間や出力範囲も明確にします。

記録に費やす時間を減らし、その分を人と向き合う時間へ戻す。それがこの機能の目的です。

04. ことばの壁を、ケアの壁にしない

福祉の現場では、フィリピンやタイをはじめ、さまざまな背景を持つ介護職の方が働いています。現場の声を聞くと、共通して最も理解しやすい外国語は英語でした。単なる逐語翻訳では、痛み、不安、遠慮、羞恥心といった介護特有の細かなニュアンスは伝わりません。

そこで『おまもり向日葵』では、日本語とやさしい英語を軸に、介護する側と介護される側の意図を短く、確認しながら伝える通訳支援を構想しています。「今から何をするのか」「どこがつらいのか」「触れてよいか」。ケアの前提となる同意と安心を、言語の違いで失わないための機能です。

05. 見えないアラートに、気づく

子どもや高齢者は、悩みをいつも明確な言葉にできるとは限りません。普段の会話に現れる小さな変化、同じ不安の繰り返し、眠れない夜、食事や気分の揺れ。向日葵ちゃんとの自然な対話から、緊急性のない日常の変化を丁寧に整理し、本人に無断で秘密を暴くのではなく、安全と同意のルールに沿って家族や支援者の気づきにつなげます。

同時に、AIは医師でも、介護職でも、家族の代わりでもありません。緊急時は人と公的窓口へつなぎ、診断や処遇の判断は専門職に委ねる。記録は必要最小限とし、端末内の保護、保持期限、閲覧権限、削除方法を最初から設計に含めます。

06. 声で残す、その人の人生

写真は残せても、何気ない声や、その人自身の言葉は失われやすいものです。「子どもの頃、夢中になっていたことは?」「初めて働いた日のことを覚えている?」。向日葵ちゃんとの意味ある会話を、本人の意思を尊重しながら少しずつ記録し、やがて文字の自分史へ育てていく構想があります。

支援される人を、症状や記録の集合として扱わない。その人が歩いてきた時間、好きだったもの、誇りにしていることを、未来へ手渡す。福祉のためのAIだからこそ、生活だけでなく人生そのものに敬意を払いたいと考えています。

07. 小さく試し、現場と育てる

『おまもり向日葵』は現在、設計と基本骨格の開発を進めている段階です。最初から完成を宣言するのではなく、介護施設でのパイロット運用を通じて、音声認識の誤り、使いやすさ、権限管理、現場の負担、本当に必要な支援を検証します。

技術から現場へ機能を押しつけるのではなく、現場の声から技術を育てる。失敗を隠さず、改善可能な形で積み重ね、社会福祉の第2弾へつながる確かな足場をつくります。

優しさを、自動化したいのではありません。

優しい人が、優しいままでいられる時間を増やしたい。支えられる人が、自分らしさを失わずに暮らせるようにしたい。『おまもり向日葵』は、そのための小さな陽だまりを、家族と福祉の現場へ届けます。

ひまわりコネクト代表 温泉エルフ

“Connecting People, Creating Smiles.”